皆さんはこの夏、何回ぐらい飛行機に乗りましたか。
わたしは、今年の夏は旅行しなかったので、ゼロ回でちょっとさびしいです。
飛行機に乗ると、いろいろな国のCA(客室乗務員)の中に日本語ができる人がいて、日本人のお客さんに日本語で話しかけてくれることがあります。わたしはそれを聞くと、仕事を忘れて旅行していても、気持ちが「日本語の先生」に戻ってしまうことがあります。
そんな経験の中で、今でも「あのとき間違いを教えてあげたらよかった…」と後悔していることがあります。
もう何年も前のことですが、私は日本からアメリカへ行く飛行機の後ろのほうの窓のそばの席に座っていました。
そこへ、アメリカ人の男性のCAが来て、
「窓をしめてもいいですか。」
と言いました。
もちろん、飛行機の「窓」は開けたり閉めたりできませんが、
窓にブラインドがついていて、閉められますね。
ですから、わたしは
「この人はブラインドをしめたい」
と考えて、「はい、どうぞ」と体をうしろに引きました。
でも、その客室乗務員は、「?」という顔で私をじっと見て、もう一度「窓をしめてもいいですか。」と言いました。
それで、わたしは、
「彼ではなく、わたしがしめる」ことを期待されていると気が付いて、ブラインドをしめました。
すると、彼は「ありがとう」とちょっと不思議そうに言うと、一つ前の列に進んで、またそこにいた日本人に「窓をしめてもいいですか。」と言いました。
わたしが「あ、この人、間違えている!」と気が付いたとき、
もう彼はたくさんの日本人客に何回も何回も同じ間違いを繰り返しながら、長い飛行機の通路をどんどん前のほうへ進んで行ってしまいました。
わたしは「ああ~、すぐにちょっと教えてあげたらよかった…」と残念な気持ちになりました。
本当は、彼は何と言えばよかったのでしょうか。
簡単に言うなら
「しめてください。」
です。
でも、お客様が相手ですからもっと丁寧に言いたいですよね。
丁寧にお願いする言い方は、
「窓/ブラインド をしめていただけませんか。」
です。
たぶん、この人は「しめてください。」は丁寧じゃないと考えて、間違えてしまったのではないでしょうか。
しかし、「~てもいいですか。」を使ったら、
「自分がそれをしたいんですけど、大丈夫ですか。」
という意味になってしまいます。
実は、このタイプの間違いは少なくないんです。
では、正しい会話例を紹介しましょう。
例)客:今、トイレを使ってもいいですか。
CA:お客様、申し訳ありませんが、
今シートベルト着用サインが付いていますので、
もう少しお待ちいただけませんか。
トイレを使いたいのは客です。
そして、CAは「待ってください」と言っています。
「お待ちいただけませんか」は、
「待っていただけませんか」よりもっと丁寧な言い方です。