「日本語で何が難しいですか。」と質問すると、大勢の人が「が」「に」「を」などの助詞がいちばん難しいと答えます。
では、助詞を間違えた場合、どんな問題が起きるでしょうか。
あまり問題が起きない場合と、大きい問題が起きる場合があると思います。
あまり問題が起きない場合は、相手に「ちょっとへんだな」と思われますが、何が言いたいかわかってもらえます。
例えば、「に」と「で」を間違えて、「東京で住んでいます。」と言った場合がそうです。
相手は「東京に住んでいます」という意味だろうとわかってくれます。
「に」と「で」の違いについては
を見てくださいね。
反対に、助詞の間違いによって、すごい意味になってしまうこともあります。
先週、私が教えている大学の授業で、
「落ちてくる」ということばの使い方を練習していました。
ものが落ちて、話している「わたし」のほうへ来るという意味です。
Aさんが、こんな例文を作りました。
木の枝から 頭が 落ちてきた。
その時の私たちの会話です。
とうふ:「ええーっ、本当ですか?! 怖すぎます。」
Aさん:「本当です。」
とうふ:「警察を呼びましたか?」
Aさん:「なぜ…?」
もう一度よく聞いてみたら、実はAさんが言いたいことは、
こちらでした。
木から 枝が 頭に 落ちてきた。
これも、少しびっくりすることですが、警察を呼ばなくてもいいですね。
この文の中心にあるのは、
落ちてきた という動詞です。
そして、「木」「枝」「頭」という名詞と
落ちてきた との関係を表しているのが助詞です。
木-から 「落ちてくる」という動きが始まるところ
枝-が 落ちてきたもの
頭-に 落ちてきたものが行く方向
ですから、名詞につく助詞が同じだったら、
ことばの順番を
枝が 木から 頭に 落ちてきた。
のように変えても、意味は同じです。
助詞は気にしすぎたらだめですが、やっぱり日本語の中で大きい仕事をしています。
次回、助詞の違いがとても重要な例をもう一つ紹介します。